放射線治療の前後にはブロッコリースプラウトを召し上がれ。
細胞培養実験と動物実験によって、
がん予防に効果を示すことで知られているブロッコリースプラウトの抽出物である
スルフォラファンに、放射線に対する増感作用があることが世界で初めて確認されました。
放射線と化学物質スルフォラファンとを併用するがん治療法が考えられています。
新しい化学・放射線療法の可能性を開くことになる可能性がでてきました。
研究成果は、平成21年9月1日、欧州の代表的な腫瘍学に関する専門誌である
International Journal of Cancerに掲載されています。
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背景
スルフォラファンはブロッコリー、カリフラワー、キャベツなどに含まれる辛み成分のこと
1990年代のはじめに米国ジョンズ・ホプキンス大学のタラレー博士らによって、
がん予防に効果があることが発見されました。
そのほか、解毒作用、抗酸化作用などがあり、有用な物質であることも明らかにされています。
最近ではピロリ菌の除菌効果があることも報告され,がん予防とは違った視点から、
細胞周期を停止させることやアポトーシスの誘発により
がん細胞の増殖抑制に寄与するという報告もあります。
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2008年には、放射線医学総合研究所の関根研究員らが、
スルフォラファンのみをがん細胞に投与するとDNAの二重鎖切断がおこることが
発見されていますが、放射線治療との相互関係を研究したことはありませんでした。
研究グループでは、スルフォラファンが放射線の治療効果を増感する効果があれば、
併用によって、がん細胞の殺傷効果が高まり、
がん治療の新しい可能性をひらく可能性があると考えられています。
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研究手法と結果
典型的ながん細胞であるHeLa細胞をスルフォラファンで前処理した後にX線照射をすると
スルフォラファンの処理がないものと比べて、細胞の生存率が有意に減少した。
この結果は、スルフォラファンが放射線の効果を増感して、
がん細胞が効率的に死滅したことを示しています。
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この研究が机上で終わることなく実際のがん患者に高い効果が出ることを願っています。
(一部文章をお借りしました)