今回はハーブやスパイスなどの食材とがんの栄養療法について。
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料理で一般に使われるハーブやスパイスの中に含まれる抗炎症成分が
がんの成長を遅らせるプロセスに影響するといった研究論文は数多くあります。
注目するのは、抗炎症作用を含有するこれらのハーブやスパイスの分子成分が
前がん状態の細胞の炎症を減らせることができ、
そのためミクロのレベルの腫瘍の成長を予防できるというのです。
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最も完全なスパイスに関した論文では、
3種族の豊富な抗がんおよび抗炎症の分子成分を含有するものが
明らかになっています。これらの発がん予防の効果が期待されます.。
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3種族とは、
①The Zingiberaceae Family
②The Lamiaceae Family
③The Apiaceae Family
のことです。
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それぞれについて少し説明していきたいと思います。
- The Zingiberaceae Family
ジンジャーとターメリックがこの種族でこれらは東南アジア
特に中国、インドで栽培され食事や薬として
5000年も前から使われてきました。
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とても強力な抗炎症作用があるのはターメリックに含まれる
クルクミンとジンジャーに含まれるジンゲロールです。
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試験管培養されたがん細胞にクルクミンまたはジンジャーを入れたところ
効率的にCox-2(炎症時に過剰に産生される物質で慢性的に炎症を生じさせる)の
生産をブロックしました。
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ターメリックを毎日摂ることで、血中の炎症誘発分子の量が低下しました。
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慢性関節リウマチの患者さんにジンジャーを毎日摂ることで
症状が軽減する研究報告もあります。
また、ベトナム人は「胃が調子悪いときクルクミンに蜂蜜を混ぜて飲む習慣がある」
とベトナム人が話していました。
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香辛料は料理の際の味付けにも体の健康維持にも役立つ
がんの成長に炎症が大きく関わることから
ジンジャーとターメリックの抗炎症作用はがん予防のための役割を
果たしてくれるでしょう。
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また、がんの転移や血管新生を抑制したり、
アポトーシス(がん細胞の自滅)を助けたりするかも知れません。
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スパイスの特にターメリックとジンジャーの抗炎症作用は、
数種類のがん、特に大腸がんの予防に重要な役割を果たすという報告があります。
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- The Lamiaceae Family
ミント、タイム、マジョラム、オレガノ、バジル、ローズマリーなどは
このグループに属し、大部分のものが地中海沿岸からのもので、
この地域の伝統的な料理を作るときに役立ってきました。
これらは、とても香気のある葉を有しており、
その香り成分は葉の中にテルペン族の精油を
豊富に含んでいるからです。
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テルペンは、がんの成長に関係する多くのがん遺伝子の機能を抑制することで
がんの成長を遅らせます。
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また、これらに多く含まれるウルソル酸は
がん細胞を攻撃、血管新生抑制、Cox-2生産を抑制したりすることも注目に値します。
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- The Apiaceae Family
このセリ科のハーブは
パセリ、コリアンダー、チャービル、フェンネル、クミン、
野菜ではニンジン、セロリ、パースニップ(ニンジンに似た根菜)などがあります。
特にセロリとパセリはアピゲニンというフラボンを多く含み、
ポリフェノールは強力な抗がん活性を持っています。
これらは研究では乳がん、大腸がん、肺がん、前立腺がんなど、
私達を悩ますがん細胞の多くの成長を妨げます。
アピゲニンは他のハーブやスパイスに含まれるものとは
成分的には非常に異なりますが、抗炎症作用と血管新生を抑制する作用が
直接的または間接的に働きます。
このアピゲニンの制がん作用についてはこれからの魅力ある研究のテーマです。
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これらのハーブやスパイスによってもたらされるがん抑制効果は
直接炎症を抑制する能力があると、最近の研究でわかってきています。
これらの食材をうまく食事の中に取り入れていくことは、
毎日の食事で直接的にがんを抑制していくことにもなります。
毎日どのような食材を選んで、どのような味付けで食べていくかということは
とても大切なことです。
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そして、味だけではなく、ハーブやスパイス独特の香りも大切なものであるとわかりました。
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このような記事を書くとスパイスだけでがんの治療を試みるという人が
あらわれるかもしれません。
しかし、それは間違っています。
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3人に1人が罹患するといわれている疾患です。
罹患しないうちに予防的な習慣を複数取り入れることが重要です。
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治療よりも大切なことは”予防ではないでしょうか。